お金の準備は、わが子への想いをつなぐこと
●将来のお金と向き合う
「自分たちがいなくなったあと、この子の暮らしはどうなるのだろう」
そんな不安が頭をよぎることはありませんか?
日々の生活に追われるなかで、
将来のお金について考えようと思っても、
何から手をつければよいのかわからず、
後回しになってしまうこともあるかもしれません。
でも、お金の準備は、単に財産を残すことではありません。
わが子が安心して暮らしていけるように、
親の想いを未来へつないでいくための
大切な準備とも言えるでしょう。
これからご紹介するのは、
「お金を残す」ということの意味を見つめ直した、
あるご夫婦のお話です。
●【挿話】金額はただの数字ではない
夜10時。
食卓には、ノートパソコンと分厚い封筒。
わたしは老眼鏡をかけ、
預金通帳をひとつずつ確認していた。
息子の大地は、2階で寝息を立てている。
定年退職して2年。
会社勤めの頃は、
毎月きちんと積み立てをしていたが、
いまは年金暮らし。
大地の通所費や医療費、保険料を払うたびに、
「あと何年もつのだろう…」
と不安がよぎる。
妻の恵子が、
「ねえ、家のローンも終わったし、
そろそろ将来のお金の話をしてみない?」
と湯呑みを置きながら言った。
「将来のお金…?」
正直、ピンとこなかった。
「財産を誰かに管理してもらう仕組みよ。
わたしたちが元気なうちに、大地のために使えるようにしておくって」
わたしはパソコンで、
「お金 管理 親なきあと」
と検索した。
「親が亡くなっても、子の生活費を滞りなく支払える仕組み」
という方法もあることに、心が動いた。
思えばいままで、
「稼ぐ」しか考えておらず、
「残す」「つなぐ」は後回しだった。
数日後、専門家の先生に相談した。
「たとえば大地さんの生活費を信託財産として設定しておくと、
将来的にご両親が認知症になっても、資金が止まりません」
その言葉に、胸の奥がすっとした。
夜にノートを開き、
息子の通所費と生活費を計算した。
・通所サービス費(昼食含む)…月3万円
・医療費・薬代…月1万円
・食費・日用品…月4万円
・光熱費・通信費…月2万円
「この月10万円が、大地の暮らしを守る数字なんだな」
わたしは小さくつぶやいた。
金額ではなく、
「あの子が安心して過ごせる生活」
を守るための設計。
数字の向こうにあるのは、
「想い」そのものだった。
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