わが子の「いま」を見つめ直す
●特性を「欠け」ではなく「特徴」として受けとめる
日々のなかで、お子様に対して
「もっとできるはず」
と思ってしまうことはありませんか?
でも、その想いの奥には、
見落としている大切な視点があるのかもしれません。
わが子の「いま」を見つめるということは、
「できないことを数えること」ではないのです。
前回のコラムの挿話にもあったように、
「できていること」や「努力していること」に
目を向ける時間とも言えます。
そのためにまず大切になるのが、
お子様の「特性」を理解することです。
・知的障がい・発達障がい:
ルールや習慣を保つことが得意な一方で、
環境の変化には影響を受けやすい
・精神障がい(双極性・統合失調症など):
感情の波が大きく、
励ましがかえってプレッシャーになる場面もある
・引きこもり・併存型:
原因をひとつに特定することは難しいものの、
背景には「居場所のなさ」があることも考えられる
こうした特性は、「何かが欠けている」というよりも、
「その人なりの特徴がある」ととらえてみることが、
理解への第一歩になります。
●「比較」ではなく「観察」を重ねて変化を見つける
特性のある人は、
いわゆる健常者と比べたときに、
苦手な部分が目立ってしまうことがあります。
そのようなとき、
「普通の人ならできるのに」
「前はできていたのに」
といった言葉が、
つい口をついてしまうことも
あるのではないでしょうか。
そのようなひと言は、
わたしたちが思っている以上に
本人を追い詰めていることもあります。
だからこそ、
「わたしたちよりもできないこと」や
「以前はできていたこと」と比較するのではなく、
「今日できたこと」や
「昨日より少しできたこと」を
丁寧に観察してみてはいかがでしょうか。
変わっていないように見える日々のなかにも、
小さな変化は積み重なっています。
親御様がその変化に気づき、
言葉にしてあげることで、
自己肯定感は少しずつ確実に育っていくのです。
●家族それぞれの関わり方を尊重する
同じ家族であっても、
お子様への向き合い方には違いが生まれます。
たとえば、お母様は心配する気持ちが強くなりやすく、
お父様は現実的な視点で考え、
ごきょうだいは距離をとる関わり方になることもあります。
こうした違いは、
どれかが正しくて、どれかが誤っている
というものではありません。
それぞれの立場から、
自然に生まれている反応とも言えるでしょう。
ただ、この温度差によって、
家族で話し合いをしても
意見がぶつかってしまうこともあります。
そのようなときは、
「考えを一致させること」を目的にするのではなく、
「状況や想いを共有すること」を
意識してみるのもひとつの方法です。
お互いのスタンスを認め、
許し合うことが、支援の土台になっていきます。
●お金の不安を「見える形」にする
日々の生活を支えるには、
通所費用や交通費、医療費、日用品費、
支援に関わる方への謝礼など、
さまざまな費用がかかります。
不安を大きくしているのは、
金額そのものというよりも、
「どれくらい必要なのかが見えにくいこと」
にあるのかもしれません。
実際の支出を整理し、
見える形にしていくことで、
将来の見通しも立てやすくなります。
支援費や年金、信託などを考えるうえでの、
土台づくりにもつながっていくはずです。
お子様の「いま」を見つめ、
一つひとつ整理していくことは、
決して諦めることではありません。
それは、理解を深めていくための
大切な過程とも言えるでしょう。
特性を知り、できることと苦手なことを把握する。
さらに、家族の関わり方やお金の状況を整理していく。
そうした積み重ねによって、
不安が少しずつ「納得」へと
変わっていくのではないでしょうか。

*将来設計ノート②
わが子の「いま」を見つめてみよう
ここからは、考えをまとめるページです。
答えを出す必要はありません。
思いついたことをそのまま書いてみましょう。
●わが子の「できること」を3つあげてみましょう
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●わが子の「苦手なこと」を3つあげてみましょう
たとえば、片付けや掃除が苦手、
感情の起伏が激しい、
予定外のことがあるとパニックになる…
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●家族で感じている「違い」を言葉にしてみよう
たとえば、母「見守りたい」/父「自立を促したい」/妹「将来の不安がある」
●生活にかかる費用の内訳をざっくり書いてみよう
(単位:万円)
*食費
*通院費
*支援費・交通費
*雑費・日用品
【小さなメッセージ】
「できない」を責めるのではなく、
「できている」に目を向けて言葉にする。
その積み重ねが、
親が子に贈れる最大の支援になるのです。
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