親として何を残せるのか…言葉にしたときに見えてきたこと
●言葉にできていない気持ちを見つめ直す
日々のなかで、
「自分は親として、何を残せるのだろう」
と感じることはありませんか。
うまく言葉にできない想いや、
伝えきれていない気持ちを抱えたまま、
時間だけが過ぎていくこともあるかもしれません。
すぐに答えが出るものではないからこそ、
言葉にすることの意味を考えさせられることもあります。
これからご紹介するお話は、
そんな想いに向き合い、言葉として残そうとした、
ある父親の姿です。
●【挿話】「父親としての役目」が戻った日
書斎の机に、娘の沙織からのメモが置いてあった。
「おとうさんへ。病院の予約、電話しておきました」
その一行だけで、わたしは少し泣きそうになった。
沙織は双極性障がいを抱えながら、感情の波に苦しむ日々を過ごしている。
いいときはよく話し、笑う。
でも、悪いときは部屋に閉じこもり、何も食べない。
そんな娘を見守るうちに、
「父親として、何を残せるのか」
と自分に問うようになった。
ある夜、妻が言った。
「ねえ、あなたの言葉、あの子に残しておいてあげたら?」
わたしは最初、ピンとこなかった。
「言葉を残すって、遺言のこと?」
「違うの。想いのこと。いまのあなたの気持ちを伝えるって意味よ」
その晩、手帳を開いて書き始めた。
「沙織へ。とうさんは、不器用でうまく励ませないけれど、いつも君の味方だ。
落ち込む日があってもいい。それでも、また笑える日が来ることを信じている」
書き終えて読み返すと、自分のなかに
「父親としての役目」が少し戻ったような気がした。
言葉にすることで、いままで曖昧だった「想い」が形になる。
そして、その形が未来を支える「根っこ」になるのだ。
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