「わたしがいない明日」を考えたときにできること
●頭の中の「心配事」を書き出して未来を整理する
前回のコラムでご紹介した挿話のように、
「親である自分がいなくなったあと」
のことを考えたことはあるでしょうか。
体調を崩した夜…
親の介護を終えたとき…
あるいは、子どもの誕生日を迎えた日…
「もし、自分がいなくなったら…」
と想像する瞬間は、人それぞれかもしれません。
ただ、
「わたしがいなくなったあと、
この子はどのように生きていくのだろうか」
と考えたとき、
多くの親御さんが口をそろえてこうおっしゃいます。
「何から考えればいいのかわからない…」
ここでまず大切にしていただきたいのは、
不安を感じる自分を責めないことです。
不安になるのは、
親として自然な感情ではないでしょうか。
子どもを大切に思っているからこそ、
心配になるのだと思います。
その不安を「準備のエネルギー」に変えてみませんか。
最初の一歩は、とてもシンプルです。
まずは、頭の中にある「心配事」を、
紙に書き出してみましょう。
書くことで、ぼんやりしていた不安が
少しずつ整理されていきます。
それが「将来設計ノート」を始める
第一歩になるのです。
●「親なきあと」を考える4つの視点
今回は、これからご紹介していく将来設計ノートの
「全体像」をお伝えします。
より具体的な準備についてお話ししていきますが、
その出発点として大切になる4つの視点があります。
①生活の視点
まずは、日常生活を支える「当たり前」を見える形にすることです。
たとえば、
・食事を用意する
・病院の予約をする
・薬を管理する
・必要な書類を書いて提出する
こうした日々の暮らしのなかで、
親が担っている役割は意外と多いものです。
これらを、
「誰が」「どのように」支えていくのか。
そのことを考えるのが、
「親なきあと」を見据える最初の視点になります。
②人の視点
特性のある成人のお子様の支援を、
ひとりの人だけで担うのは現実的ではありません。
支援センター、カウンセラー、地域包括支援センター、
医療機関、きょうだい、親族…。
こうした人たちを、
「支援のチーム」
として考えていくことが欠かせません。
日頃から「顔の見える関係」を
少しずつ増やしていくことが、
将来の安心につながります。
③経済の視点
特性のあるお子様が成人した際の生活支援は、
「好意」だけで受けられるものではありません。
現実的なお金の流れも不可欠です。
生活費は、
・年金
・手当
・親の預貯金
・労働収入
など、さまざまな形で成り立っていることが多いもの。
とくに、発達障がいや精神障がいのある人にとっては、
医療や支援が継続して必要になる場合もあります。
そのため、親が体調を崩したときや、
もしものときに生活が止まらないよう、
・口座
・保険
・利用している支援制度
といった情報を整理しておくことが安心につながります。
「誰が、どこから、何を支払うのか」
この流れを共有しておくだけでも、
家族の安心感は大きく変わるのです。
④不安を「安心」に変える視点
「自分がいない明日」を想像することは、
ときに怖さをともないます。
でも、それは「残される誰か」
を守るための想像でもあります。
不安を描くことは、未来をつくることでもあるのです。
あなたが書いた1行は、
やがてお子さんにとっての
「安心の地図」になっていくのではないでしょうか。

*将来設計ノート①
「わたしがいない明日」を描いてみよう
考えをまとめるページです。
答えを出す必要はありません。
思いついたことをそのまま書いてみましょう。
1. 最近「もし、わたしがいなかったら」と感じた出来事はありますか?
2. あなたがいないとお子様が困ることは何ですか?
⬜︎ 食事の準備
⬜︎ 通院・薬の管理
⬜︎ 行政手続き・金銭管理
⬜︎ 人との連絡
⬜︎ 生活全般
3. あなたがいなくても「できること」は何ですか?
4.もし倒れたとき、誰に最初に連絡してほしいですか?
【小さなメッセージ】
「自分がいない明日」を想像することは、
「今日を生きる勇気」を取り戻すこと。

