依存症は「構ってほしい」や「ストレス」も原因につながる
●自ら依存症になる理由を探している面もある
わたしたちのグループホームに、
以前、統合失調症で病院にかかっていた(いまの症状ははっきりしない)
50代のアルコール依存の男性が入居しています。
お酒をやめるように言えば言うほど、
構えば構うほど、ストレスでお酒を飲んでしまう状態です。
大事なことなので念のためお話ししますが、
わたしたちのホームでは、
基本的にアルコール依存の人は受け入れていません。
この人は、以前アルコール依存症の専門医療機関に入院していました。
お酒は完全にやめたということで退院できたので、
それならば…、と受け入れた経緯があります。
ところが、入居後に再びお酒を飲み始めてしまい、
最近も立っていられないほど酔っ払っていたことがありました。
その酔っ払ってしまった前日、彼は病院へ行きました。
長らく通院していなかったのですが、
抗酒剤を処方してもらう約束をして、
病院に行ってもらうことになったのです。
でも、ひとりでは病院に行かない可能性があるため、
その人が通う(就労継続支援)B型作業所の人に同行してもらいました。
病院で無事に抗酒剤を処方していただいたのですが、
先生と同行した人が自分の悪口を言っていると勘違いして、
ストレスを感じてしまったようです。
そのストレスから、お酒を大量摂取することになってしまいました。
通常、生活費はB型作業所のスタッフが管理してくれているのですが、
今回は交通費として数千円を渡したそうです。
本人に、そのお金の使い道を尋ねたところ、
極度のストレスから、手持ちのお金を使って呂律がまわらないほど
お酒を飲んでしまったとのことでした。
お酒を飲んでしまうのは、
ストレスが溜まったときや少しでもお金が手元にあるときで、
アルコール依存からなかなか抜けられない状態が続いています。
ストレスが溜まったから飲んだ、とは言っていますが、
お酒を飲む言い訳を探しているようにも見えるのです。
ほかに顕著なものは、
お医者さんやわたしたちまわりの人間が意見を言えば言うほど、
本当は喜んでいるのかもしれません。
一見、本人は嫌がっているように見えるのですが、
どちらかと言うと、構ってほしいがためにお酒を飲んでいるようにも見えます。
アルコールに限らずギャンブルなどにはまってしまうのは、
普通の人でも起こり得ることです。
ただ、やはりその傾向が強く出やすいということでしょう。
こういった特徴も踏まえつつ、
少しでも改善に向かっていけるよう、
わたしたちも模索しながらかかわっています。