親が人生を楽しむことも、子どもの安心につながる
●自分のしあわせも大切にする
お子様のことを第一に考え、
自分の楽しみや、
やりたいことを後回しにしてきた親御様も
いらっしゃるのではないでしょうか。
でも、お子様のしあわせを願うのと同じように、
親御様自身のしあわせも大切にしてほしいと思います。
今回は、そんなことに気づいた、
ある親子のお話をご紹介します。
●【挿話】親も楽しんでいい
日曜の午後、春の風が気持ちよく吹いていた。
母の美佐子は、
娘の結衣と一緒にベランダの花を植え替えていた。
淡いピンクのペチュニア。
「おかあさん、前に枯らしたやつ?」
「そう。もう一回挑戦してみようと思って」
「おかあさんも『リスタート』だね」
と結衣が笑う。
この数年間、
発達障がいと精神障がいを併せ持つ
結衣のことを中心に生きてきた。
それは母として自然なことだったけれど、
いつしか「自分の時間」をどこかに置き忘れていた。
最近、支援員に言われた言葉が心に残っている。
「おかあさん、娘さんの人生を支えるって、
『一緒に生きる』ってことですよ。
だからおかあさん自身も、ちゃんと
『楽しむ生き方』をしてください」
その言葉を思い出しながら、土をならす。
「ねぇ結衣、今度おかあさん、陶芸教室に行ってみようと思うの」
「いいじゃん! わたしも行きたいかも」
思いがけない返事に、美佐子は目を丸くした。
親が人生を楽しむ姿が、いつの間にか
「子の希望」にもつながっていたのだ。
花の鉢を並べ終え、ふたりでお茶を飲む。
「ねぇ、おかあさん。おかあさんが笑っていると、安心するんだよ」
と結衣が小さくつぶやいた。
その言葉が、胸の奥にやさしく染みた。
子のための準備を続けてきた時間は、
じつは「自分の人生を取り戻す」時間だったのかもしれない。
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