人との距離感をバランスよく保つ秘訣とは?
●お互いの「依存」にならない配慮をしよう
人とコミュニケーションをとるうえで、距離感は大事なポイントです。
以前のコラムでご紹介した、マウンティングし合う2人の女性は、
仲良くなったり、仲が悪くなったりすることをいつも繰り返しています。
仲のいいときはずっと一緒におしゃべりをしているのですが、
仲が悪くなると、共有のリビングで絶対に一緒に過ごそうとしません。
ちなみに、取り合いの元になっている人気のスタッフには、
いつも誰かがピタッとくっついています。
人気のスタッフには共通の傾向があり、とにかく誰に対しても優しいことです。
何かを頼まれても、嫌と言うことがありません。
場合によっては
「それはダメですよ」
と言わなければいけないこともあるのですが、
そういうことを一切言わないのです。
入居者がスタッフの料理を手伝うのは、
一見いいことのように思えるかもしれません。
でも、これを無制限に許してしまうと、
お互い依存する状態になってしまうのです。
ですから、わたしたちスタッフは基本的に、
入居者と一定の距離を保つようにしています。
(食事担当のスタッフは、仕方のない面もあるのですが)
そして、話を聞くときも時間を決めて行うようにしているのです。
そうしなければ、入居者の依存が加速し、離れられなくなってしまいます。
それは、自立を妨げることになるため、いいことではありません。
スタッフと入居者の距離感をバランスよく保つのは、
とても大切なことです。
人間関係の問題が起きたときは、月1〜2回スタッフが間に入り、
入居者同士でとにかく話をさせるようにしています。
そして、お互いの理解を深める機会を設けているのです。
ただ、話し合いをしたからといって、すぐに解決するとは限りません。
大切なのは、根気強く繰り返し続けることです。
グループホームは訓練をする場所ではありませんが、
わたしたちのホームでは、人と人との距離感をわかってもらい、
少しでもいい人間関係を築けるように、さまざまな工夫をしています。
精神的な障がいのある人は、
どうしても自分中心に物事をとらえてしまいがちです。
相手側の視点やまわりのサポートを少しでも理解できるように、
支援をしていきたいと考えています。