親の安心が子どもの自立を育てる、未来を見据えた環境を整えよう
●才能よりも、「自立できる環境」を整える
「発達障がいのある子どもには、特別な才能を持っている」
こういった話を耳にしたことはありませんか?
その才能を伸ばせば、将来は明るい…、
そんな期待を語る人も少なくありません。
ただし、このような話には注意が必要です。
なぜなら、すべての子どもが
特別な才能を持っているわけではないからです。
テレビやメディアでは、
絵や音楽などで才能を発揮している人が紹介されますが、
それはごく一部にすぎません。
おそらく多くの親御さんが望んでいるのは、
わが子が有名になることよりも、
自分の人生を安心して歩んでいけることではないでしょうか。
実際、障がいがあっても真面目に、
コツコツと努力を続けられる人は、
時間がかかっても質の高い仕事をする傾向があります。
大切なのは、「才能を期待すること」よりも、
「可能性を見つけられる環境を整えること」です。
親がそばにいなくなっても、お子さんの人生は続きます。
自分の力で歩んでいけるように、
少しずつ自立に向けた準備を進めておきたいものです。
お子さんが好きなことを見つけられれば、
それが将来の仕事のきっかけにもなります。
人は年齢を重ねると、
新しいことを始めるのが億劫になることもありますよね。
だからこそ、早い時期から
「自分で選び、自分で進む」ための環境を整えておくことが、
長い目で見て大きな支えになっていくのです。
●自分の人生も大切にしながら、まわりの力を上手に借りる
障がいのあるお子さんを育てている親御さんのなかには、
将来に対して漠然とした不安を抱えながらも、
「どこに相談すればいいのかわからない」
「役所の窓口に行くのが気が重い」
と感じている方も少なくありません。
日々の生活に精一杯で、
じっくり考える時間を持てないこともあるでしょう。
あるいは、「自分がなんとかしなければ」と責任を抱え込み、
すべてをひとりで背負ってしまう人もいます。
でも、すべてを自分だけで解決する必要はありません。
頼れる場所があるなら、素直に頼ってみてください。
親の人生は、子どもの面倒を見ることだけで終わるものではないのです。
障がいのあるお子さんを支える親御さんは、
毎日本当によくがんばっていらっしゃいます。
そのうえで、きちんと対策を立てながら、
ご自身の夢や楽しみを叶えることも大切です。
たとえば、わたしの運営するグループホームに
お子さんを預けている親御さんの中には、
定年退職後に自分のお店を始めた方もいらっしゃいます。
40代のうちからエンディングノートを書き始めると、
「これからの人生をどう生きていこうか」
と前向きに考えられるようになるといいます。
早めにご自身とお子さんのロードマップを描き、
少しずつ準備を進めていくことで、
理想の生き方に近づけるはずです。
よりよい人生を築くためにも、
まわりの力を上手に借りながら、
ご自身の人生を大切にしていただきたいと願っています。