特性が出やすい障がい者グループホームの人間模様
●コンディションによって「天使と悪魔」が顔を覗かせる
グループホームに入居している人たちには、特性が出やすい傾向があります。
わたしたちが運営しているグループホームに入居している人たちの、実際のエピソードを交えてご紹介しましょう。
お伝えしたいのは、「障がい者は特別なわけではない」ということです。
じつは、障がい者も健常者も基本は同じで、「特性が顕著に出るだけ」ということを知っていただきたいのです。
もちろん、さまざまな傾向を知っていただくことで、心がまえができるかもしれませんね。
精神の障がいを持っている入居者に多いと感じられるのは、そのときの身体的、精神的なコンディションによって、反応が大きく違うこと。
まるで別人ではないかと思えるほど、声かけなどに対する反応が異なるのです。
普段は普通に会話ができる人でも、話がまったく耳に入らなかったり、言葉を発することができなくなったりします。
それほどの大きな差があるので、かなり長いスパンでその人の傾向を把握しておくことが大切です。
そうしなければ、スタッフもびっくりしてしまうことでしょう。
たとえば調子が悪いときは、まわりにいる人すべてが自分を攻撃しているように感じられて、気持ちがすり減るように疲れてしまうことがあるそうです。
薬が効いているときはいいのですが、切れてくると状態が変わるように感じます。
●様子を見極めて対応する
よく、「天使と悪魔」というたとえ話をするのですが、同じ人でも次のような「天使」の状態と「悪魔」の状態があらわれます。
<天使状態>
・「はい、わかりました」と素直に聞く
・話をきちんと聞ける
・会話が成り立つ
<悪魔状態>
・何も聞き入れない
・攻撃的感情が表に出る
・被害妄想がかなりひどくなる
悪魔状態のときに何を話しても、ほとんどが徒労に終わります。
そんなときは、部屋に戻るように促して落ち着くのを待つしかありません。
どちらも同じ人なのですが、タイミングを見計らって対応しなければならないのです。
手や足が出たらここには住めなくなる、と伝えているので、物理的な攻撃に訴える人はまずいません。
でも、乱暴な言葉が返ってくることもあります。
ちなみに、この天使と悪魔が顔を出す人には、とくに年齢や性別の違いはありません。
こうした特徴があると知っておくことで、落ち着いて対応することもできます。
まず、個々の傾向や、特性が出やすいことを把握することが大切なのです。