入所しても終わりではない、家族の役割とは?
●グループホーム入所後も「家族とのつながり」は欠かせない
障がいのあるお子さんがグループホームで生活している場合でも、
スタッフが相続財産の配分に関与することはありません。
ただし、ひとつだけかならずお願いしていることがあります。
それは、親御さんが亡くなったあとに、
入居者に何か起こった際の「連絡先」を事前に決めておくことです。
たとえば、体調不良で入院が必要になった場合、
スタッフの判断だけで入院手続きを進めることはできません。
親族の方に状況を確認していただいたうえで、
ようやく入院の手続きに進む形になります。
親御さんが亡くなったあとは、
身元保証人の役割が、きょうだいや後見人へと移っていきます。
「グループホームに預けたから、すべて安心」
という状態ではないことを、
家族や関係者にも共有しておくことが大切です。
●まずは家族の状況を整理し、「必要な備え」を見きわめる
障がいのあるお子さんの場合、
状態によっては意思決定が難しかったり、
受け取った財産を活用できなかったりするケースがあります。
そのため、「成年後見制度」をどう活かすかを
検討することも重要なポイントになります。
成年後見を考える際には、
信頼できる弁護士・司法書士・行政書士を早めに探しておくと安心です。
成年後見には次の2つのタイプがあります。
・法定後見人(家庭裁判所が選任)
メリット:後見人が病気になっても、次の担当者が選ばれるため継続性がある
デメリット:財産管理が中心となるため、
不動産売却などの判断が難しくなることがある
希望する人物が後見人にならない場合もある
・任意後見人(本人が信頼できる人と契約)
メリット:後見人や契約内容を自由に決められる
デメリット:費用が高め/後見人が認知症や死亡などで
継続できなくなる可能性がある
どちらの場合も、手続きに時間を要するため、
早い段階で動いておくとスムーズです。
家族ひとりひとりの状況や関係性、
子どもの状態を把握できると、
「どの制度を使うべきか」「誰に相談すればよいか」
が見えやすくなります。
そこから、地域の福祉窓口や相続・不動産の専門家、
弁護士・司法書士などの力を借りながら進めていくことで、
将来への備えを安心して整えられるはずです。
ひとりで抱え込まず、家族と話し合いながら準備を進めていきましょう。

