「分け方・備え方・減らし方」から考える、親亡きあとの相続準備
●家族が困らないために、3つの相続対策を整えておく
障がいを持つ子どもの備えのなかでも、
とくに「親亡きあと」の相続や財産のことまで、
具体的に考えていない親御さんは多いのではないでしょうか。
「うちはお金持ちではないから、相続の準備なんて必要ない」
と感じているのかもしれません。
実際、わたしのもとへ相談に来られる方のなかには、
「うちには相続税がかかるほどの財産なんてありませんし…」
と話される方が多くいらっしゃいます。
おそらく、相続対策=節税対策という
イメージをお持ちなのでしょう。
でも、相続対策には節税だけでなく、
家族を守るための大切な目的があるのです。
相続の備えは、主に次の3つに分けて考えます。
・分割対策 … 家族が財産の分け方で揉めないように、遺言書を準備しておくこと
・納税資金の確保 … 金融資産の取り崩しや不動産の売却などで、
相続税を支払える資金を用意しておくこと
・節税対策 … 相続人を増やす、相続財産を減らす、
財産評価を下げるなどして、相続税の負担を軽くすること
この3つのうち、まず優先したいのは
「家族が争わないための分割対策」です。
そのうえで、納税資金の確保や節税対策を
進めていくことをおすすめします。
もし遺言書がない場合、銀行口座の名義変更や預金の分配、
実家の所有権移転を行うには、相続人全員で話し合い、
遺産分割協議書を作成することが重要です。
相続人が障がいのあるお子さんだけであれば、
分割を巡って争う心配はないかもしれません。
たとえ揉めなくても、銀行口座や不動産の名義変更には
多くの書類と時間が必要になります。
親が亡くなったあと、
障がいのあるお子さんが複雑な手続きに困らないよう、
できるだけ早い段階で準備を始めておくことが大切です。
そういった小さな一歩が、将来の安心につながります。

