生死に直結するお金と薬の管理は第三者にも相談しよう
●命を守るためにお金と薬を管理する
障がいを持つ人にとって、
生活のなかでとくに重要なのは「お金」と「薬」の管理です。
人によっては、金銭の管理をまったくできない場合もあります。
ある会社では、障がいを持ち、
生活保護を受けながら働いていた方が、
給料を受け取ったその日のうちに競馬などで全額を使い切ってしまった、
という例もあったそうです。
わたしが運営するグループホームでは、
こうした金銭トラブルを防ぐために、早めのサポートを心がけています。
実際に効果があった取り組みのひとつが、「お小遣い制」です。
たとえば、「1日1000円だけを手元に持つ」というルールを設けることで、
それ以上のお金は使わないしくみにしています。
手元にあるお金をすぐに使い切ってしまう習慣がある方でも、
この方法を取り入れると衝動的な出費が減り、
無駄遣いの改善につながっているのです。
意外と見落とされやすいのが「薬の管理」です。
「1日3回、食後にきちんと服用できる人」もいれば、
「指示通りに飲むのが難しい人」もいます。
自分で服薬を管理できない場合は、身近な人にお願いして、
服薬をサポートしてもらうことが大切です。
お金と薬の管理は、時に命に直結するほど重大な課題です。
本人だけで対応できないときには、
専門家の力を借りながらでも、
安心して暮らせるしくみや環境を整えることが
求められるのではないでしょうか。
●家庭で抱え込まず専門家に相談する
命に関わる可能性のあるお金の管理については、
地域の福祉課では対応できないことも多いため、
専門家に相談するのも有効な方法のひとつです。
ただし、当事者である親御さんの悩みが深ければ深いほど、
「そうは言っても、あなたはわたしとは違う」
「赤の他人のあなたに、何がわかるの?」
といった気持ちがわいてくることもあります。
長年の苦労を背負ってきた人にとって、
相談相手に疑いを持ってしまうのは
自然なことかもしれません。
でも、その「疑わしいから相談しない」という選択によって、
本来受けられるはずのケアや、
必要な対策の機会を逃してしまうのは、
大きな損失ではないでしょうか。
近年はまだ多くはありませんが、
専門分野ごとに特化したコンサルタントが存在し、
また知的障がい・精神障がい・発達障がいに
深い理解を持つ専門家も増えてきています。
わたし自身も
「グループホームを運営する相続・不動産の専門家」
として活動していますが、
入居される方たちと日々接している経験から、
幅広い視点でアドバイスをさせていただく機会が増えています。
最初の一歩を踏み出すのは不安かもしれません。
でも、将来のお子さんの安心のためにも、
まずは福祉サービスに関する相談から
始めてみることをおすすめします。