自立に向けた生活習慣を身につけよう
●「親亡きあと」のことを考えていますか?
障害のあるお子さんがいるご家庭では、
いずれ親御さんが亡くなったあとの対策をとっておくことが不可欠です。
そのときに備えて、どのようなことをする必要があるのでしょうか。
ここからは、「親亡きあと」の基本的な考え方についてお伝えします。
ぜひ一緒に考えていきましょう。
1 生活力をつける訓練をしよう
規則正しい生活は、一般の人にとっても容易ではありません。
ましてや、ご自宅で親御さんのサポートを受けて生活している
障がいのあるお子さんにとっては、なおさら難しく感じるはずです。
そのため、生活リズムが乱れないよう、誰かがサポートする必要があります。
生活が不規則だと、社会への適応が困難になるからです。
「寝たいときに寝て、起きたいときに起きる」、
家事のほとんどを親が担う…このような生活は、
お子さんの将来にとって決してプラスにはなりません。
そのため、毎朝決まった時間に起床し、
3食きちんと食事をとり、外出したり、入浴、洗濯、掃除を行い、
決まった時間に就寝するなど、
規則正しい生活習慣を身につけるようサポートすることが大切です。
こうした規則正しい生活習慣は、
デイサービスの利用や将来の就労といった
次のステップへの重要な基盤となります。
お子さんの自立を目指し、
心を鬼にして指導する方法もありますが、
家族だからこそ難しいと感じる人も少なくありません。
そのような場合、グループホームの利用も有効な選択肢です。
わたしも運営している障がい者向けグループホームは、
簡単に言うと、障がいのある人が共同で生活する
シェアハウスや寮のようなところです。
自立支援を目的としており、
高齢者施設のような介護サービスは提供していません。
個々の障がいの特性を考慮し、
どうしてもできないことへの支援を行うとともに、
自立に向けたスキルアップを長期的にサポートする場所です。
●サポートは就労支援も視野に入れて行う
理想的には、一般企業の障がい者枠などを利用して就職し、
自立することが望ましいです。
ただ、現状では企業側の理解不足により、
障がい者枠で就職できる人はごく一部に限られています。
一般企業への就職以外にも、
障がい者の方々のためのさまざまな就労支援があります。
・福祉サービス
就労継続支援A型(雇用契約あり)
就労継続支援B型(雇用契約なし、単純作業などが中心)
・就労移行支援(一般企業就労に向けての就労支援)
・就労定着支援(障がい者の方が働ける環境の提供)
具体的には、福祉サービス関連の仕事や、
就労継続支援A型(雇用契約あり)、
就労継続支援B型(雇用契約なし、比較的単純な作業が多い)、
就労移行支援(一般企業就労を目指した支援)、
就労定着支援(障がい者の方が働きやすい環境づくり)などがあります。
就労継続支援A型は、最低賃金が保証されており、
月15万円程度の収入を得ることも可能です。
社会との関わりが多いほうを希望する人には、A型が適しています。
就労継続支援B型の場合、
月収が10万円を超えることはほとんどありません。
そのため、生活費を十分に確保できないケースも多く、
障がいの状態や作業内容によって収入は大きく変動します。
生活費を確保するためには、
障害年金や生活保護制度の活用も検討する必要があるでしょう。
現実的には、親御さんからの
経済的な支援に頼るケースが多くなっていますが、
親御さんもいつか亡くなります。
そのため、親亡きあとの生活を保障するための対策を
検討することが不可欠です。
具体的には、お子さんへの財産承継方法なども含めて、
将来の生活設計を立てる必要があります。
計画を立て、適切な支援を選択することで、
お子さんの明るい未来を築き上げることができるのです。