障がい者の自立をうながす訓練は早めに行う
●入院する場合は家族の同意が不可欠
障がい者グループホームにいる人のなかには、
病気を抱えている人もいます。
身体の病気も進行することもあり、
精神的な病は現状維持できればいいほうで、
完全に治ることは難しいのが現実です。
規則正しい生活を送っていても、
精神的な問題やほかの病気のために
入退院をくり返すことが少なくありません。
とくに、元々抱えている疾患については、
薬である程度コントロールする以外の方法がないのです。
統合失調症などは、幻聴や幻覚があらわれるものであり、
この症状を完全になくすことはできません。
これは難しい問題ですが、
そのような状況と上手に付き合っていくしかないのです。
入院が必要な場合には、
親御さんなどの保証人の同意が求められます。
これは、グループホームの職員だけではどうにもできません。
そのため、ご家族にはグループホームでの状況を
把握していただくことが重要です。
●状況に応じて病院に移る場合もある
障がいをお持ちの人には、さまざまな状況があります。
わたしがこれまで関わってきたなかでも、
身体やメンタルが不安定になり、暴言を吐いたり、
予測できない行動をとったりするたびに、
職員が対応している状況です。
入居者が精神的に不安定になって、
一時的に入院することもあります。
ある人は、外出したまま夜になっても戻らず、
深夜に道路でふらついていたところを警察に保護されたり、
幻覚や幻聴によって誰かに追われていると感じ、
精神的に落ち込み、入院に至りました。
もうひとりは、こちらの言葉に反応せず、
自分のルーティンをひたすら繰り返し、
部屋のなかを動き回ったり、
壁にぶつかったりしていました。
力がとても強かったため、
職員が止めるのは難しいと判断し、入院することに…。
このような出来事が日常的に起こるのが、
グループホームの現実なのです。
●家族とグループホームで連携をとる
障がいのある人は精神的にとても繊細であることが多く、
見知らぬ人との共同生活や生活環境の変化に対して、
不満や不安を抱くことが少なくありません。
親が亡くなったあとにグループホームを利用する予定であれば、
事前に訓練しておくことが重要です。
「これは、自分でやらなければいけないことなんだな」
「これからは、こうやって生きていかなくてはいけないんだな」
と理解することで、本人の生き方も変化していきます。
早い段階から自立のための訓練を始めることは、
子どもの人生においてとても大切なことなのです。
グループホームに入ったからといって、
すべての問題が解決するわけではありません。
共同生活に慣れるには時間と労力が必要であり、
家族の協力も必要です。
ご家族とグループホームで連携して、
一緒にサポートしていきましょう。