外部の力も借りて、家族みんなが安心できる未来をつくろう
●助け合いが家族のすれ違いを生むこともある
「親がいなくなったあと、障がいのある子を誰が支えるのか…」
この問いは、多くの家族が直面する現実です。
障がいのある子どもを外部の支援に頼らずに育てようとすると、
家族だけで背負わざるを得ません。
親が健在で納得して支えているうちはまだしも、
親が亡くなったあとには、
障がいのあるきょうだいを支える責任が残された家族に
大きな負担がかかります。
配偶者が理解のある人や
知識を持っている人であれば助かりますが、
そうでない場合は状況を受け入れてもらえない可能性もあるのです。
また、障がいのあるきょうだいの世話をするために、
自分の子どもを預けなければならず、
「自分の家族を優先するか、きょうだいを優先するか」
という板挟みに苦しむ人も少なくありません。
そのような負担や葛藤の積み重ねから、
離婚に至り、家族がバラバラになってしまうこともあるのです。
そのような状況を避けるためか、
重度の障がいを持つ人のきょうだいは、
自分の家庭を持たないまま過ごしているケースも多く見られます。
とはいえ、たとえ独身であったとしても、
限られた人数で支え続けるにはあまりにも大きな負担です。
もし、複数のきょうだいがいて仲がよく、
役割を分担して協力できるならまだしも、
そうでなければ、ひとりにかかる重荷は計り知れません。
そもそも親もきょうだいも、
家族の世話をするためだけに生きているわけではないのです。
●専門家に相談しながら早めに備えよう
社会とのつながりが少なくなっている親子にとって、
近くに「こうしたほうがいいよ」などと
声をかけてくれる人がいると、とても助かります。
でも、実際には多くの人が関わることを避けてしまうのが現実です。
また、困っているときでも、
人によってはアドバイスを素直に受け入れるのが難しい場合もあります。
なかには、アドバイスに反発したり、
普段は穏やかでも頑固になってしまったりする人もいるので、
簡単にはいかないのです。
だからこそ、「すぐに解決できることではない」と考え、
時間がかかるのを前提に早めの準備を始めることが大切です。
当事者が動かないからといって周囲が静観してしまうと、
何もしないまま月日が経ち、気づけば状況が悪化してしまいます。
「親亡きあとの対策」を考えるときには、
第三者である専門家の力を借りることも有効です。
たとえば、きょうだいだけでは不安だからと親戚にお願いした結果、
お金を使い込まれてしまうケースもあるかもしれません。
また、そうでなくても手続きなどが複雑で、
自分たちだけでは対処しきれなくなる可能性もあります。
万が一のときにスムーズに対応できるよう、
専門家の目を入れておけば安心感が高まるはずです。
大変な問題だからこそ、大きな負担をひとりで抱え込まず、
外部の支援を頼る選択肢を入れておくことが大切です。
早めの準備と支援の力を借りることで、
家族みんなが安心して未来を迎えることができるでしょう。