社会との関わりを持って孤立を防ごう
⚫︎「親亡きあと」に備えて社会との関わりを持つ
親と一緒に暮らす障がいを持つ子どもにとって、
親亡きあとへの備えがどれほど重要なのか、
考えたことはありますか?
多くの障がいを持つ成人している人は、
十分な教育を受ける機会がなく、
社会に出ることもないまま世間から孤立し、
「ただ生きている」と感じる状態になりがちです。
外に出ることを避ける傾向が強いため、
日常の生活は家とスーパーの行き来に限られ、
なかなか新しい世界に踏み出せず、
とても狭い世界で生活しています。
また、他人との関わりを持たず、
孤独感を抱えて生きる人も多くいる状況です。
発達障がいのある子どもと親が一緒に暮らしていると、
その関係性のなかで世界が完結し、
外部との関わりを持たなくても事足りてしまいます。
いつか親がいなくなることを考えず、
将来に対する不安があっても見ないようにしているのです。
これは、もっとも怖い状態と言えます。
障がいを持つ人には変化を恐れる特徴もあるため、
新しい行動を始めるのに数年かかるケースも少なくありません。
たとえば、お子さんを就労訓練へ行かせるまでに、
3年ほどかかることもあれば、
ゴミ屋敷状態の家を片づけ始めるのに8年かかるケースもあります。
親が亡くなったあと、お金や証券、不動産のことなどが放置され、
気がつけば10年以上経過していたということもあるのです。
これが、障がいを抱えているお子さんを持つご家庭で、
よく見られる実情と言えます。
こうした状況を防ぐために、
社会との関わりをつくっていくことも、
「親亡きあと」に備える重要な対策なのです。
⚫︎グループホームで自立を目指そう
国が提供する障がい福祉サービスのひとつに、
障がい者向けグループホームがあります。
障がいを持つ人のなかには、長期間家に引きこもり、
掃除や洗濯、料理など、すべて親に任せているケースも多く見られます。
こうした人たちは、親の遺産が十分でない場合、
どのように生活していくのか、
どうお金のやりくりをしていくのかという問題にかならず直面します。
この問題は、障害年金や生活保護でお金を受け取ったとしても、
解決できるものではありません。
将来のことを現実的に考えると、
親が元気なうちにグループホームに移ることで、
社会的な孤立を防ぎ、
生活面での自立を目指すことは効果的な選択です。
「グループホームに入りたくない」と思う人もいるかもしれませんが、
親が亡くなったあとに頼る場所がなければ、
貯金を切り崩すことしかできず、行き詰まってしまいます。
必要なサポートや手当を確実に受け取るために、
事前に地域の相談窓口に問い合わせておくことが欠かせません。
グループホームの利用を検討する際は、
まず、お住まいの市区町村の障がい者福祉の担当窓口に
問い合わせをすることをおすすめします。